2023年5月3日(水)、4月8日にプレ企画を終えた「若手意見交流会」の本企画をレッドベリースタジオで開催しました。
この記事では、企画がはじまった経緯や次回開催について三瓶の主観で触れたいと思います。
なお、当日のようすはd-SAP編集長の佐久間泉真さん(弦巻楽団所属)が詳細にリポートしてくださったので、そちらをご覧ください。
意見交流会開催のきっかけ
札幌演劇シーズン実行委員会が、JAPAN LIVE YELL project 2022の一環として取りまとめていた「北海道シアターカウンシルプロジェクト」に参加した際、同じく参加者だった佐久間くんとこんな会話をしました。
最近、こういう企画に参加するようになって、舞台関係の先輩方に「若手代表としてどんな困りごとがあるのか共有してほしい。」と言われることが増えたけど(自分たちを含めて)札幌でどんなことがやりたくて、どんなことがあると楽しく表現活動を続けられるのかわからないし、実際に話してみたいよね。
社会人目前の僕たち2人にとって“札幌で表現活動を続けること”は最大の悩みでした。芸術分野への関わり方をどうしたら良いか、たくさん考えていた時期でもあったからです。
「先輩の話も参考になるけど、若手だけの相談会みたいなものがあれば良いよね」
「まずは横のつながりをゆるく作って、少しでも多くの言葉を聞いてみたい」
「何かをやるってことではなくて、ただ困りごとを共有する場所があれば自分達も安心」
「必要になればその場で出た意見を先輩方にも聞いてもらえるように」
そんな願いもあって、若手の意見交流会が開催されることになりました。
もっと言えば人生設計?
意見交流会開催にあたって、若手の定義を考えようという話になりました。芸能の世界では40代でも始めたばかりの人は若手と呼ばれます。ですが、今回の交流会は29歳以下という年齢制限を設けました。自分たちも20代だし、20代で話し合ってみたいというのが大きな理由です。
それから、20代は様々なことを「やめようか、続けようか」最大限に迷う年齢だと考えました。人生設計を考える上で大事な年齢でもあるからです。もっと踏み込めば、夢を追えるギリギリの年齢が20代だと思っています(完全な主観です)。
僕は、演劇活動を「やめよう」とも思っていないけど、「続けたい」のかもよくわかっていません。
だけど漠然と「続けるのだろうな」という気持ちはあります。矛盾していますがそんな感じで「続けること」に関してはフワッとしているのです。だからこそ同世代で同じように続けようか迷っている人の話を聞いてみたくなりました。
それから僕は、札幌演劇シーズンのことも気になっています。演劇シーズンが始まったのは今から11年前の2012年。現在29歳の人が18歳なので、大学に進学した年になります。演劇シーズンは「演劇創造都市さっぽろプロジェクト」の提言から始まりました。そこには「100人の演劇人が活躍する場所を目指して」というタイトルがついています。5年の実施期間を終えて、2017年にはいくつかの提言が新たに加わっています。ですが、2019年のパンデミックをきっかけに計画の進行を転換せざるを得ない状況になってしまったと思うので、これからが気になっています。
この提言が実際、どんな響き方をしているのか、今の同世代は演劇シーズンをどう思っているのか、はじまったきっかけを知っている人、知らない人に聞いてみたいと思いました。
5月3日開催の意見交流会の場で、この提言を知っていた参加者は佐久間くんを含めて数人でした。このことは今後も自分たちが暮らすの街の施策として、どのようなものであったら良いかを考えてみたいと思っています。
5月3日のこと、その次のこと。
当日は、スタートの11:00から15名ほどが集まりました。想定外の人数に運営もてんやわんや。
ポケット企画のメンバーがいなければ回らなかったなと、手伝ってくれたみんなには本当に感謝しています。
まずは付箋を用いて困りごとを共有したのですが、壁に貼られたその量に驚き!今後の議題になるような内容が山ほどありました。
人数も時間経過とともに増えていき、午前の部が終わった段階で25〜30名ほどに。話し合いもそれに伴って白熱していき、予定を急遽3時間調整。議題を絞って話し合いましたが、まだまだ、まだまだ足りない様子。長く、ゆるく、今後も続けていこうと思いました。
そして、ポケット企画でやりたかったフォーラムシアター。
開催前に2回、ポケット企画の定期稽古でリハーサルをしましたが、個人的にはファシリテーションに課題が残る結果に。楽しんで参加してくださった皆さんに感謝しています。次回以降頑張ります。佐久間くんのレポートでは、良い面がたくさんあったみたいなのでホッとしています。是非是非読んでみてください!(2回目)
フォーラムシアターを今回の交流会で選んだ理由は、演劇の交流の場なのだからただ話すだけでなく、現象として「表現を形で残す」ことができないか、と考えたからです。そういった意味では、みんなとスキットについて考えることができて、演じることができて、劇的な時間を過ごせました。
それから、レッドベリースタジオの飯塚さんから“drama”と“theater”の違いについて教わりました。人に見せることを前提にしているのか、いないのか、ということらしいです。詳しくは、また考えてみようと思います。
まとめ
今回のこのレポートにもある通り、交流会はこれで終われるはずもなく、無理のない範囲で今後も開催してみようと思います。月に1回くらいのペースで考えていますので、皆さんも無理のない範囲で参加してくださるとありがたいです。定期的に開催することになりそうなので、この回がどうなっていくと良いか、運営方法(佐久間くんや僕がいなくても持続できる方法)やお金のことなど、お気軽にご連絡ください。
最後になりますが、今回参加してくださった約40名の皆様本当にありがとうございました。次回もお待ちしております。
1960〜70年代のアヴァンギャルドな時代が終わって、80年代、90年代になった頃。それまでの反体制的な主張から演劇の手法を社会のために使う応用演劇が作られ始めました。その基礎を作ったのがブラジルのボアールという演出家です。
ボアール自身も60〜70年は反体制的な作品を作ってきましたが「武器を取れ!という主張を劇を通してするけど、劇団が民衆と一緒に武器を取って戦うわけではない」ということにある農民との会話から気付かされました。
そこから貧富の差や貧困層にいる人々の搾取に問題意識を覚え、社会状況を変えるために聴衆を巻き込むような演劇手法を考案しました。
搾取されている状況を演劇を通して自覚することで国民の問題意識を高め、社会を変革しようとすることが目的です。
今回意見交換会でやったフォーラムシアターは創作活動の中で自分がその場にいて解決できないような困難な状況を詳細に思い出し、寸劇(スキット)として再現します。客観的に観たり主観的に演じることで解決策を考えてみます。